何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

『計算できるもの、計算できないもの』の技術査読を担当しました

計算できるもの、計算できないもの(、計算できるけど難しいもの)

2020年12月24日にオライリージャパンから『What Can Be Computed?』の邦訳である 『計算できるもの、計算できないもの』が発売される。

www.oreilly.co.jp

この度、邦訳の査読者として少しお手伝いさせていただいた。

計算機科学の主要なテーマである計算可能性、計算複雑性に関する本である。 この手の本に登場するプログラムは擬似コードによるものが多かったが、『計算できるもの、計算できないもの』はPythonで書かれている。 Pythonは「読める擬似コード」と呼ばれることもあった(最近は聞かない)が、まさに「読めるし実行できるコード」である(ただし、計算不可能なので実行できないコードも存在する)。 また、Javaによるコードも用意されている。

注意するべき点として、Pythonで書かれてはいるが、計算理論を説明するために特化されている記述であるため、Pythonが全く分からない、という人はこの本を読む前に『Pythonチュートリアル』を流し読みする必要がある。 また、これは私の推測であるが、元々はJavaで書かれていたコードをPythonに置き換えたという段階を経ていると思われ、変数名やクラス名がJavaを彷彿とさせるものになっている。 そのため、よくある「Pythonでわかる○○」のようにスラスラとは読めないかもしれないが、理論的な本で手を動かして読めるというのは中々に貴重な本であるのでめげずに読んでほしい。

ちょうど発売日が2020年12月24日とクリスマスプレゼントにピッタリの本である。 ぜひ、年始年末の読書として挑戦してみてほしい。