原書初版は1988年
2024年5月16日にオライリージャパンから『The AWK Programming Language, 2nd edition』の邦訳である『プログラミング言語AWK 第2版』が発売される。
今回、主に日本語回りの校正、Python周りのチェックをお手伝いした。
AWKは主にテキスト処理に用いられるプログラミング言語である。 もはやAWKの名前の由来など解説する必要がないかもしれないが、エイホ、ワインバーガー、カーニハンの頭文字を並べたものである。 いずれのお三方も計算機科学の重鎮である。 最初はだれだってAhoの読み方に困惑するはずだ。
原書初版は1988年であり、35年振りに改訂が行われた。 主な変更点はUnicode対応やCSVなどのデータ集計に関する機能であり、ある意味では変わっていないともいえるし、現代でも使える言語に進化したともいえる。 AWKは主にテキスト処理に用いられるプログラミング言語である、と冒頭で述べたが、「5章 レポートとデータベース」や「7章 専用言語」を読めばわかる通り、単純なテキスト処理を超えた力を持つ言語である。
改訂に伴い、Pythonで書かれたコードも少しだけ登場する。 また、「9章 あとがき」では(おそらくカーニハンの)Pythonに関する評価が書かれている。
Perlから遅れること数年、1991年(平成3年)に開発されたPythonはスクリプト言語分野を席巻し、すべての言語の中でももっとも使用されているものの1つになった。Pythonは習得しやすく、表現力も高く、効率にも優れる。さらに考え得るプログラミング処理のほとんどに対応する膨大なライブラリもある。現実的に考えれば、もしプログラミング言語を1つしか習得しないならば、Pythonをお勧めする。
AWKの本なのにPythonが好意的に扱われている。 時代は変わったものである。
もちろん、続けてAWKについても
とあり、気軽に使えるツールとしてのAWKの魅力は決して色褪せていない。
『プログラミング言語AWK 第2版』は「1章 Awkチュートリアル」や「付録A Awkリファレンスマニュアル」だけ読んでも十分役に立つ。 そして、是非とも他の章も読み進めて、AWKの底力を垣間見てほしい。