中田敦『GE 巨人の復活』を読んだ。
GE 巨人の復活 シリコンバレー式「デジタル製造業」への挑戦
- 作者: 中田敦
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/06/13
- メディア: 単行本
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きっかけはTwitterでこの本が面白いというツイートを見かけたことである。 布団に転がりながら読んだら面白くて眠ることなく最後まで一気に読み進めてしまった。
リーマンショックの影響で金融部門の1兆9000億円の特別損出を出したゼネラル・エレクトリック(GE)がジャック・ウェルチのコングロマリット戦略からITを駆使した「デジタル製造業」への転換の様子が描かれている。 主な読者対象は日本の電機メーカー(日立、東芝、三菱重工、三菱電機etc…)に関係する人であるが、読み物としても十分面白いのでITを活用するすべての人に向いていると思う。
経営トップが自ら積極的に行動したこと、シリコンバレーの「規律」(本書ではリーンスタートアップ、デザイン思考、アジャイル開発が挙げられている)を徹底的に学び実践したこと、 適切な人材を雇ったこと、文化面から変革した、など元々IT企業とは思われていない企業がITを真の意味で導入して改善するとはどのようなことなのかを知ることができる。
シリコンバレーの方法論を徹底的に取り入れるのも重要であるが、もう1つの重要な成功要因としてGEには元々学びを重視する文化があったことが挙げられている。
「GEがほかの製造業大手に先んじてデジタル変革に邁進できた要因として、GEには昔から学びを重視する文化があったことが挙げられる。GEはラーニング・カンパニー(学ぶ会社)だ。外部から来た私にとっては、大きな驚きだった」。 ビル・ルーは当時を振り返ってこう証言する。
ちょっと面白かったのは、P.52の記述。引用する。
そこでGEは様々な手を打った。最も効果的だったのは、社外の人材採用会社を使う方針を改め、シリコンバレーで実績のあるリクルーターにGEに入社してもらって、GEが自力で人材を採用できるようにしたことだ。 (中略) もちろん、待遇面の努力もした。たとえばGEでは従来、役職のないエントリーレベルのソフトウエア開発者にはボーナスが支給されなかった。これを改め、あらゆる階層のソフトウエア開発者にボーナスを支給するなど、エンジニアの待遇改善に動いた。 そうすることでようやく、エンジニアやデータサイエンティストの採用が進むようになったという。
思わず「やっぱ世の中金だな!」と叫んでしまった。 給与や待遇は「衛生要因*1」であり、たくさんあっても必ずしも引き付けることはできないが、少ないと決して引き付けることができないのである。
私は現在IT企業にカテゴライズされるであろう企業で仕事をしているが、シリコンバレーの「規律」にはそれほど詳しくない。 将来私は経営者になるのかどうかは全く知らないが、ここで挙げられている「規律」については深く知り、必要に応じて実践する必要がある。 また、「学び続ける姿勢」というのも重視したい。今仕事している企業に変に最適化せず、学び続けて変化し続ける必要がある。