何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

『動かして学ぶ量子コンピュータプログラミング』の技術査読を担当しました

新たなるパラダイム

2020年8月27日にオライリージャパンから『Programming Quantum Computers』の邦訳である 『動かして学ぶ量子コンピュータプログラミング』が発売される。

www.oreilly.co.jp

この度、邦訳の査読者として参加させていただいた…が、 過去に書いた怪文書に物理や化学の話題がほとんど出てこないことからも察せられるように、量子力学や量子情報学は専門外であった。 僕の邦訳における役割は、査読者の@bbrfkr氏を呼んだこと、それが唯一である。 話があったのは2020年4月頃であるが、『Programming Quantum Computers』の存在は前から知っていた。

筆者たちが実装した量子コンピューティングシミュレータのQCEngineをベースに量子コンピューティングの基礎概念から実際の応用例までを扱う意欲作である。 量子コンピューティングと聞くと今まで解けなかった問題が簡単に解けるだの、暗号が解読されるだの、謎の期待に塗れた文章や話しか聞こえてこなかった。

一方、『動かして学ぶ量子コンピュータプログラミング』はQCEngineによるソースコードJavaScriptベースなので読める)と共に説明が進み、現時点でどのようなことができるのかがわかる。 しかし、量子コンピューティングは従来のプログラミングとは幾分様子が異なり、量子力学や量子情報学の前提知識なしですぐに理解するのは中々大変であろう。 幸いなことに、QCEngineはWeb上で実行できるサイトも公開されているので手を動かしつつ読み進めることができるのがうれしい。

量子コンピューティングって聞いたことがあるけれども何ができるの?どうやるの?という方にぜひおススメの一冊である。