何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

『アルゴリズムクイックリファレンス 第2版』の査読を担当しました

2016年12月24日にオライリージャパンから『アルゴリズムクイックリファレンス 第2版』の邦訳が発売される。

www.oreilly.co.jp

この度、邦訳の査読者として参加させていただいた。

オライリーの方から話があったのは2016年9月に行われたPyCon JP 2016のカンファレンス2日目だった。 第2版ではアルゴリズムPythonで実装される、ということで二つ返事で引き受けた。*1

実際は、第2版で新規に採用されたアルゴリズムPythonで実装され、初版から続投しているアルゴリズムC言語Javaで実装されている。 土日に一気に読み進めたり、平日の夜に確認する作業を行っていた。 ほとんどがテニヲハの指摘が中心である。

内容は整列、探索、グラフといった基本的なデータ構造及びアルゴリズムから計算幾何学まで幅広い話題を扱っている。 翻訳者の黒川さんが丁寧な訳注を多くつけているものの、アルゴリズム初学者向けではない。 学部の講義で習う程度の前提知識はあった方が読みやすいと思う。

アルゴリズムのような計算機科学の理論は即効性はあまり期待できないものの、必ず役に立つ理論である。 物理の力でマシンスペックを上げる方法もあるが、アルゴリズムを改善して性能を上げて利益を上げるという選択肢を知っているだけでもかなり変わるはずである。 ぜひ、職場、研究室、ご家庭の常備本としてご活用いただければと願っている。

*1:「鈴木さんは数学がお得意なので」という話もあったが僕が数学が得意なのかは藪の中である。