何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

Pycon JP 2018に参加しました。

まさかの時のなんとやら

2018年9月17日、18日にPyCon JP 2018のカンファレンスが行われた。 2014, 2015, 2016, 2017に続いて5回連続5回目の参加である。 今回はスピーカー、スポンサーブースの主担当者として参加という今までとは全く異なる立場でのPyCon JPであった。

聞いたトーク

Atsushi Odagiri 「あなたと私いますぐパッケージン」

speakerdeck.com

youtu.be

毎年、パッケージングの話を聞いていると着実にパッケージ周りが進歩していることがわかる。

新井 正貴 「Pythonで解く大学入試数学」

slideship.com

youtu.be

まさかの数学ネタ、SymPyネタ被り。自分の宣伝に少なくない時間をかけてもらってしまい申し訳なかった。 センター試験は手計算に優しいのでSymPyだと回りくどい可能性もある。

杉山 剛「自分が欲しいものをPythonで書く方法(Python for Myself)」

slideship.com

youtu.be

YouTubeから視聴。 質問に答える人の役で自分が登場する。

1日目LT

youtu.be

jumpyoshim.hatenablog.com

会社の同僚が発表した。 アレな目的に対して真面目な手法を使うのは面白い。

別のLTで昨年のLTであった「listにlistを代入する」話が再び登場した。

Yasuaki Matsuda「Djangoアプリケーションにおけるトイル撲滅戦記」

speakerdeck.com

youtu.be

会社の同僚が発表した。 一緒に取り組んだプロジェクトやその経験を踏まえた新しいプロジェクトでの経験をいい感じにまとめてある。

2日目LT

youtu.be

麻雀の役判定botのLTにキレがあった。 そのほかもいい感じのネタでとてもよかった。

スポンサーブース

所属している会社の広報の方がまとめてくださりました。

PyCon JP 2018にGoldスポンサーとして協賛しました!

発表した内容: 「SymPyによる数式処理」

github.com

youtu.be

当初、数論成分は薄めであったが、線型代数の説明をするよりも数論の方がSymPyのモジュールを活用できるので素数にまつわる定理や補題、予想を増やしていった。概要に書かれている連立方程式や最大公約数、最小公倍数は一体どこにいったのでしょう? 発表の冒頭でヤバいと思ったら逃げましょう、と煽ってみたが、結局誰も逃げずに最後まで聞いてくれてうれしかった。寝ていた人もいたけれども...。

自分の発表を聞いてみると、自分が思っているよりも声が高めなのか、とか、早口で何言っているのかわかんないなこれ、みたいな印象を受ける。

発表内容も、当初はもう少し高校数学よりの内容にするつもりであったが、ネタ被りが生じたため、修士論文からネタを採用することになり数論ネタが増えたりと「理工系学部1, 2年」というレベル感とは、という状況になった。 それでも、自分が話したい内容を話したほうがやはり話している人が面白いので聞いている分も何言っているのかわからなくても面白そうだった、となれば十分である。

所感

今年はスピーカー、スポンサーブースの主担当者という重めの役割を同時にやったのでなにかと大変であった。 来年も数学ネタで何かできればいいなと思いつつ。

『問題解決のPythonプログラミング』の査読を担当しました

これがMITの学生が学んでいるプログラミング!

2018年9月22日にオライリージャパンから『Programming for the Puzzled』の邦訳『問題解決のPythonプログラミング』が発売される。 この度、邦訳の査読者として参加させていただいた。 オライリーの方から話があったのは2018年7月下旬であった。

www.oreilly.co.jp

この手のエントリは、発売日後に出すことにしているが、今年のPyCon JPで先行発売されるので知名度を上げるために*1早めに出した。

原著の筆者はMITの教授で実際にMITにおけるプログラミングの講義において使われた題材を元に構成されている。 MITのプログラミングの講義、といえばSICPが有名であるが、『Programming for the Puzzled』もまた実際の講義の経験に裏打ちされた密度の高いパズルがたくさん掲載されている。 個人的には、最初の帽子のパズルはなんだこれ?と思ったが情報圧縮アルゴリズムに絡めた問題であることがわかるとちょっと感動してしまった。

この本の難点は、掲載されているPythonコードが全体的にPythonicではない、PEP 8に従っていないこと、Python 3対応を謳っているがPython 2ベースであること、であろう。 自分で読みつつ、Python 3対応を行ったり、Pythonicなコードに置き換えて読んだりするとPythonの力が向上するだろう。 黒川さんのあとがきの通り、研究室や会社の研修で使うとよさそうな本である。

*1:果たしてどの程度の効果があるのか。

『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』の査読に参加しました。

一体僕は何回NumPyやpandasの解説を読んだのだろうか...

2018年9月19日に翔泳社から『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』が発売される。

www.shoeisha.co.jp

この度、査読者の1人として参加させていただいた。 話があったのは2018年7月頃であった。

一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施する(予定の)「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」にふさわしいテキストを既存のものから策定しようとしたが、 結局自分たちでふさわしいテキストを書くことになった、という話を伺った。 つまり、この1冊だけでデータ分析に必要となる知識を学ぶことができるのである。 1冊だけ、と書いたがA5サイズの割にはずっしりとしている。

この本の面白いところは数学(線型代数微積分学、確率統計)に触れていることである。 高校数学+α程度で高度な内容を扱っているわけではないが、数学から逃げずに真正面から取り組もうというのはいいことである。

Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』の査読に参加する前に、オライリージャパンの『Pythonデータサイエンスハンドブック』や『Pythonによるデータ分析入門 第2版』の査読を行っていて、 ちょっとNumPyやpandasに関する文章を読むことに飽きていたところに査読依頼を引き受けてしまったのでちょっとモチベーションを保つのが大変であったが、そこは数学の章を読むことで補っていた。 この本をとっかかりに、より骨太な専門書になる『Pythonデータサイエンスハンドブック』や『Pythonによるデータ分析入門 第2版』に挑戦してみてほしい。