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何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

B. L. van der Waerden 『Algebra』

Algebra : Volume I

Algebra : Volume I

  • 作者: B.L. van der Waerden,F. Blum,J.R. Schulenberg
  • 出版社/メーカー: Springer
  • 発売日: 2003/10/21
  • メディア: ペーパーバック
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B. L. van der Waerden 『Algebra』Springer

抽象代数学の古典。初版は1930年でタイトルは「Modern Algebra」だった。
第3版あたりで Modern という言葉が外れ、これは第7版である。
邦訳は銀林先生のが東京図書から出ているが(多分)絶版である。

第一巻の内容は集合、群、環、ベクトル空間、多項式環、体、群の続き、Galois理論、順序集合、無限次拡大、実体。
現在、この本を読んで代数を学ぶ人は少ないだろう。私は修士1年から2年の初夏にかけてセミナーで読んだ。
修士課程で基礎的な代数学を学んでいる時点で相当遅れていると思うが仕方ない。

この本がでるまでの代数学はどちらかというと方程式論だった。例えば高木貞治代数学講義』などがその代表例である。この本によって代数学、そして数学の抽象化が進んだ。その証が「Modern Algebra」から「Algebra」への変更である。現代的な代数学の本であったのが一般的な代数学の本となったのである。

よくある代数学の本は群、環、多項式環加群、体、Galois理論という構成でGalois理論にたどり着く頃には群論で学んだJordan-H\"{o}lderの定理は忘れているだろう。一方で『Algebra』では群の準同型定理まで学んだらすぐ環論に進む。とにかくGalois理論までの道をひたすら突き進む。余計なことをしなくてよいのが古典の特権である。
確かに古臭い部分もあるし怪しい部分もあるが、今でも読む価値がある本だと思う。ただ数学科ならば講義で適当な教科書で学ぶだろうし工学系はこんな本を読む気力がある人はそんなにいないと思う。

よく工学系で離散数学という科目がある。講義名に反して実態は集合や写像、関係など集合論のお話が殆どである。離散というよりは数学リテラシーと言うべき内容である。数学リテラシーすらまともにできない人が多いのだけれども。
その中で同値関係と分割という概念が登場する。離散数学では整数を剰余によって分割する例しか登場しないが代数学には群の剰余類分解など何度も登場する。このような例を知らずに離散数学を学ぶのは辛いのではないだろうか。