これを書いたのと、「数学者が読んでいる本ってどんな本」を紀伊國屋書店で見かけたので今までの軌跡を振り返るのもよいと思って書いてみることにする。なお電通大生は数学というより工学系の専門書か技術書を好む傾向があると推測している。よってこれは電通大生の特異点が作ったリストである。
読んだ本
- 佐武 一郎 「線型代数学」
昔書いたこともあるがこの本は日本語で書かれた線型代数のお手本である。斉藤正彦先生の「線型代数入門」もこの本に影響を受けて書かれている。世間に流布している線型代数の本は「線型代数学」と「線型代数入門」を引用していることからもお手本であることが分かると思う。私が工学系から数学系に転向(?)したきっかけの本でもある。きっとこの辺りの話は学位記授与式が近づいたら書くかもしれない。
- 作者: 佐武一郎
- 出版社/メーカー: 裳華房
- 発売日: 1974/01/20
- メディア: 単行本
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- B. L. van der Waerden 「Algebra Vol.1」
代数をきちんと勉強しようと思い読み始めた。これもまた世の代数学の教科書のお手本とも言える本でこれを引用しないで代数学の教科書を書くのは難しいのではないだろうか。これもまたコメントらしきものを昔書いたことがある。
- 作者: B.L. van der Waerden,F. Blum,J.R. Schulenberg
- 出版社/メーカー: Springer
- 発売日: 2013/10/04
- メディア: ペーパーバック
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気に入っている本
- 浜田 隆資, 秋山 仁「グラフ論要説」
コレを読めば古典的なグラフ理論は大体理解できるのではないだろうか。難点は絶版であるので入手は難しいと思われる。
- Reinhard Diestel「Graph Theory 4th edition」
現代的なグラフ理論を求めるならばこちら。かなり難しいので1人で通読しないほうがいい気がする。日本語訳もあるがそれは第二版が元になっている。
- Stasys Jukna 「Extremal Combinatorics 2nd edition」
「極値組み合わせ論」というタイトル。面白い手法や定理が沢山載っている。これを一緒に読む友達が欲しかった。
- Jirí Matousek, Jaroslav Nesetril 「Invitation to Discrete Mathematics 2nd edition」
積読している本
代数篇
- 森田 康夫 「代数概論」
- 永尾 汎 「代数学」
「代数学」は「Algebra」を読み進める際に参考にした。「代数概論」は大学生協で裳華房フェアがあったので購入したものの日の目を見ることは無かった。
「Algebra」には古いので加群はそれほど扱ってない。そこで加群とホモロジー代数について書いてあるこの冊子2つを地元の古本屋で発見したので購入したものの、ついていけなかった。
解析篇
- 高木 貞治 「解析概論」
LaTeXで組まれた定本・新装版が出たので記念購入。
- 杉浦 光夫 「解析入門 I」「解析入門 II」
よくこの本は「解析門前払い」と呼ばれますが私は門前にもたどり着くことが出来なかった。
- 小平 邦彦 「解析入門 1」「解析入門 2」
今思うと買う必要が無かったのではないだろうか。
学部2年のときに選択講義である確率論を受講するか否かを悩んでいたときに確率論はルベーグ積分をやってからやるべきだという話を耳にして結局確率論の講義を受講しなかった。そのときに購入したが結局読めていない。
- Lars Valerian Ahlfors 「Complex Analysis」
日本語訳の「複素解析」も所有している。現代数学は線型代数・位相空間・複素解析をやるべきだという話を耳にして購入した。アメリカでは大学院で読むものらしいが日本では学部生が読むものである。また電通大において複素函数論は難解な講義の1つで留数定理にたどり着く前に脱落する。
集合・位相篇
- 松坂 和夫 「集合・位相入門」
学部4年のときに単位があと1単位足りなかったので学部2年生向けの「現代数学入門」なる集合・位相論の講義を受けた。「集合・位相入門」を持って教室に現れ周りの学生を驚かせようと企んでいたが驚くわけが無く担当の先生に「お、松坂先生の本だね」と目をつけられることになった。
- 河田 敬義, 三村 征雄 「現代数学概説 II」
位相空間論を学ぶにはこれの前半がよいと耳にして古本を購入。結局読めていない。
このリストから分かるように幾何学の本が全く無い。多様体など定義すら知らない体たらくである。とある先生の卒研配属資料に代数的多様体と他の多様体についての話題があったが一体誰に向けて書いたのか未だに謎である。