そうだ、札幌に行こう
突然思い立って、札幌に3泊4日で向かった。
旅行の企画
やる気がないというやる気のない呪詛を会社のチャットにたれ流していたら、「せっかくだからGoToしてきたら?」と勧められた。
ふと、将棋の豊島竜王が札幌対局(第60期王位戦第二局)で札幌まで電車で向かった、という話を思い出した。
去年のPyCon mini Hiroshima 2019は飛行機で広島まで向かったが、14年ぶりの飛行機で中々に恐怖を覚えたので、旅行するなら飛行機ではなく電車がいいな、と思っていた。
大宮から札幌まで新幹線と特急で移動して観光する、というプランを立て始めた。
札幌もまた、高校の修学旅行の自由行動以来であり、14年ぶりである。
2020年10月30日(1日目)
金曜日は有給休暇を取り、最寄りの新幹線駅である大宮駅へ向かった。
数年前に出張で東海道新幹線に乗った以外は新幹線はすべて大宮発着である。
いつもは「あさま」に乗って上田を目指すが、今日は「はやぶさ」に乗る。
黒山の人だかり、まではいかないものの、大宮駅は混んでいた。
気分転換の旅行であるので、さみしい旅になるといいな...と期待していたが、そうはならなかった。
「はやぶさ 13号」で新函館北斗駅を目指す。
新幹線は防音対策のためかそれほど景色がよくないと感じていた。
そのため、青函トンネルに入るまでは原稿を読んだり本を読んだりしていた。
昔、小学n年生だかコロコロコミックなのかは忘れてしまったが、「ドラえもん海底ワールド」という記事を読んだ記憶がある。
なんとなく、行きたいな、と思っていた。
普通は陸上か地下にある駅が、なんと海底にある...。
「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」の世界である(津軽海峡ではなく太平洋とか大西洋の話だけど...)。
現在は、竜飛海底駅、吉岡海底駅はそれぞれ竜飛定点、吉岡定点となり、駅は廃止となった。
何とか海底駅の名残を見れないかと窓に顔をつけてトンネルを覗き込んだが、何かのケーブルと非常口の案内が見えるだけであった。
新函館北斗駅に到着する。13時半を過ぎていた。
ほとんどの乗客は函館ライナーで五稜郭や函館市内へ向かっていった。
目的地は函館ではなく札幌である。
特急北斗は3番線から、という案内に従ってプラットホームに向かうと、そこは旅の当初に望んでいた風景があった。
特急を待つ間、貨物列車がやってきた。
えんじ色のJR貨物のコンテナ、運送会社のコンテナ...。
『コンテナ物語』やDockerコンテナのことを思い出していたら、貨物列車が停止した。
信号が赤になったらしい。
函館からやってくる特急を待つためだろうか。
無人ではないので、運転手がいるはずだ。
彼なのか彼女なのかはわからなかったが、この停車時間で何を考えているのだろうか。
仕事から逃げるために旅行をしているのに、何故仕事について考えなければならないのだろうか....。
14時12分に北斗13号が新函館北斗駅を出発した。
車窓からは内浦湾や大沼が一望できた。
最後に車窓から海を見たのはいつだろうか。
北斗は札幌に向かって走り続けているが、中々札幌までたどり着かない。
自然の中、漁港、北海道らしいといえば北海道らしい光景であるが、不安にもなってきた。
不安に呼応して辺りも暗くなり、自分の顔が映る夜景を眺めていた。
札幌に到着したのは18時前であった。
高校の修学旅行は羽田空港から新千歳空港へ向かい、そこから観光バスへ乗り込みどこかへ向かった。
どこかの店でカニらしき何かを食べて、白い恋人パークに向かって見学をして、札幌駅周辺の自由行動、そして札幌駅から臨時列車へ、という段取りであった。
そのため、札幌駅の思い出はそこまでなかった。
特急が停車するホームの割には地味なホームだな、と思いつつ札幌駅に降り立った。
突然思いついた旅行であったため、GoToキャンペーンがあるにせよ、なるべく安く抑えようとした。
昔読んだ『おいしい桃鉄―桃太郎電鉄11全国グルメ物件ガイド』には「宿泊にお金をかけよう」と書いてあったのは覚えていたが、実践できなかった。
場所はすすきのの外れにあるビジネスホテルであり、すすきの駅からも多少歩く場所にあった。
ビジネスホテル自体も安さを売りにしていて、ベッド以外の設備は簡素なものであった。
水回りというか、トイレや浴槽が狭いのが難点であった。
WiFi完備とはいうものの、かなり遅いネットワークであった。
フロントのスタッフは親切であったのが救いであった。
ホテルの周辺にあった小さなお店で夕食を取り、ホテルに戻って眠りについた。
2020年10月31日(2日目)
仕事から逃げるための旅である。
具体的な計画はなかった。
ひとまず、高校生の修学旅行の思い出をなぞることにした。
まずはさっぽろテレビ塔である。
展望台まで登った記憶があいまいであったが、未だに非公式キャラクターであるテレビ父さんは健在であった。
写真を撮られる。
とりあえず撮影して、見てもらってから買ってもらうという方式である。
買わなくても専用のフォルダーに入れて見せてくるので何だかもったいない気がしてつい買ってしまう。
普段、自分を写真で写すことはないので、意外と貴重な写真となるのでは、と思ったのだ。
展望台からの眺め。
テレビ塔ができたころは高いビルもなく壮観であっただろうが、現在はテレビ塔よりも高いビルもあり、テレビ塔は登るものではなく眺めるものなのだろう。
テレビ塔を後にして札幌市街をうろつく。
修学旅行では、同行していた教頭先生からこっそり連れられておいしいと評判のラーメン屋に行った覚えがあるが、それがどこだったのか全く思い出せないのだ。
時計台の近くだったような、しかし「時計台ラーメン」ではない。
イメージよりも小さいからがっかりすると評判の札幌時計台へ。
時計台は目的ではなかったのだが、何故か近くを通ったのだ。
テレビ塔と同じで、周りはビルに囲まれて今では時計台としてはそれほど機能していないが、それだけ札幌が大都市として発展した証拠でもあるのだ。
道庁赤レンガ庁舎へ。
赤レンガ庁舎には入らず、近くの池にいたカモを眺めていた。
カモはゆったりと泳いでいる…と思わせておいて、オスがメスを追いかけているようであった。
泳ぐカモもいれば、池の岸で休むカモもいた。
その様子を十数分ほど見ていた。
紀伊國屋書店札幌本店へ。
紀伊國屋は新宿本店に何度も何度も行ったことがあるが、札幌本店は初めてである。
修学旅行で、同級生が自由行動を終え、札幌からどこか(多分特急に乗って帯広に行ったはず)に行く前に紀伊國屋を見つけてマンガを買いに行ったはずなのだが、
果たしてこの位置に紀伊國屋があったのだろうか。
札幌駅にあったはずなのだが、現在は一本道路を挟んだところにある。
店内は広く、マンガから専門書まで幅広い。
2階にあるスターバックスで紅茶とケーキを食べて一息ついた。
一旦ホテルに戻り、一息入れてから札幌の地下街へ行った。
新宿の地下街とは異なり、ひたすらにまっすぐな地下街であった。
帰りは地上を歩いた。
日付はまったく気にしていなかったがハロウィンであり、すすきのに近づくと派手な格好をした人がたくさんいた。
一応はやっているんだけどな、と思いつつホテルに急いだ。
2020年11月1日(3日目)
具体的な計画などないが、修学旅行の思い出をなぞる、という目標みたいなものがあった。
藻岩山へ行った。
藻岩山は円山公園駅からバスで向かった。
藻岩山もまた、修学旅行の自由行動へ行ったところであるのだが、道中までの道を全く覚えていなかった。
直接、藻岩山の麓のバス停へ行ったのか、市電に乗って近くまで行ったのか、それとも...。
ロープウェイで中腹駅へ。
昔の記憶とは違い、きれいな駅であった。
もーりすカーと呼ばれるミニケーブルカーがあった。
こんなものあったっけ?藻岩山は頂上まで行ったはずだが、何に乗って頂上までいったのだろうか。
頂上からは札幌市街が一望できた。
頂上には幸せの鐘なるものがあり、大量の南京錠がかけてあった。
フランスかどこかの橋や、幸福駅の駅舎などをテレビで見て、年末に行われる神社のお焚き上げの意味を初めて理解したが、
藻岩山の南京錠もまた、お焚き上げのありがたみを理解できるものだった。
時間的に無理があったが羊ヶ丘展望台も目指すことにした。
ろくに時刻表を調べなかったので、最寄りの地下鉄駅からタクシーで向かい、帰りは終バスで札幌駅に向かった。
修学旅行は集団でバスで向かったので距離感が分かっていなかったが、相当遠い。
クラーク博士像の前で集合写真を撮った気がする。
今回も写真を撮ったが、人に撮ってもらうように依頼するのはやや面倒である。
帰りは札幌大丸にあるポケモンセンターを流して、さっぽろテレビ塔の中腹にあるレストランで夕食を取り、ホテルに戻った。
2020年11月2日(4日目)
新幹線と特急で札幌に向かうと、初日と最終日が移動日となり、なんだかもったいないような、いや車窓とのんびりする時間があるからいいのだ、とか色々な考えが巡る。
ホテルをチェックアウトして、札幌駅に向かった。
特急の発車時刻まではちょっと時間があったので、札幌駅の駅ビルにある展望台へ向かった。
藻岩山からもわかる札幌駅の駅ビルは相当高く、テレビ塔とは異なる景色が見える。
10時42分、特急北斗10号に乗り、新函館北斗駅を目指す。
初日の真っ暗な車窓とは異なり、苫小牧までは発展した街を眺めながら、その先は自然が豊かな沿線を走り抜けていった。
14時13分、新函館北斗駅に着き、そのまま到着していた新幹線に乗り込み、大宮を目指した。
次に北海道に旅行するのはいつだろうか。
北海道新幹線が札幌まで到達するのは2030年とか言われているが、そのときだろうか。
それとも、それよりも早く行くことになるだろうか。
1週間あれば十分新幹線でも行けるだろうし。