アジャイル開発の利点・誇張・難点
近代科学社から発売されているトップエスイーシリーズの入門講座の2分冊目である『アジャイルイントロダクション Agile開発の光と影』を読んだ。
Twitterで見かけたのがきっかけである。 最初はそこまで気にしていなかったが筆者がオブジェクト指向プログラミングの本で有名なBertrand Meyerであることに気づいた。 面白そうな予感がしたので購入してみた。
原著のタイトルは『Agile! The Good, the Hype and the Ugly』と(監修者も認識しているが)「光と影」よりも細かい。 原著の表紙の方がオシャレで好きなのだが、トップエスイーシリーズで表紙を揃える必要があるので仕方がないか。
原著はSpringerであり、まともに原著を買おうとすると5000円近くするので邦訳の方が1000円程度安く、かつ簡単に入手できる。
内容は、端的に言えば従来のソフトウェア工学の観点からアジャイル開発と呼ばれる手法を冷静に分析したもの、である。 その分析の結果としての利点・誇張・難点のカテゴリに分類している。 具体的に何が難点なのか、などをずらずら書くと読む楽しみがなくなってしまうので詳細は避けるが、アジャイル開発の事前のドキュメント作成軽視を批判的に扱っているなど、 アジャイル開発信奉者ではない、けれどもアジャイルを深く研究した筆者の冷静な分析は是非読んでみてほしい。 アジャイル開発を宣伝する本はたくさん存在するが、学術的な側面から分析した本(特に、日本語で書かれているもの)は貴重である。
トップエスイーやらトップエスイーシリーズが何者なのかよくわかっていないが、トップエスイーシリーズの他の分冊の評判が知りたい。