何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

数学小話:無限の可能性

人生には無限の可能性があるという。

僕は現在IT企業と呼ばれるものに属している。IT企業は文字通り情報技術を駆使してこの世の中を便利にする使命がある。もし、この使命を狂信している上司から「我々の事業には無限大の可能性がある」という言葉が出てきたときにどう対処すべきだろうか。人生における無限の可能性については答えるのが難しいが、計算機においてならばある程度答えることが出来るのではないだろうか。
実現可能な事柄の集合を考える。このとき、この集合の濃度はどうなっているのか。次に計算機によって実現可能な事柄の集合を考える。こちらの濃度はどうだろうか。計算機は結局0と1からなる有限列を扱っているに過ぎない。つまり、いくら高性能な計算機を沢山用意しても実現できるのは高々可算である。一方、この世の中には数多の事象があり僕は非可算集合ではないかと思っている。そう、計算機でどう頑張っても高々可算個の事象しか解決できないのである!
我々はこの事実を悲観するべきだろうか。僕はそうは思わない。このように計算機の限界を知ることで我々は驕らずに謙虚になれるのである。限界はある、では我々はその範囲内で何をすべきだろうか、何が出来るのであろうか。

「ほら、よく言うだろ~?人生には無限の可能性があるってさ~。僕はそんなの信じてないんだ。いつだって選べる道は少なかった。時には道は1本しかなかった。その、少なかった可能性の中から自分で選んだ結果が僕をここまで連れてきた。だからこそ僕はその選んだ道を……選ばなくちゃならなかった道を大切にしたい。

http://ffdic.wikiwiki.jp/?セリフ/【僕はそんなの信じてないんだ】