何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

数学言葉遊び

数学で用いられる言葉の中には日常で用いる言葉を借りているものがある。
例えばグラフ理論の「木(Tree)」は閉路を含まない連結グラフのことであるが目に入る特徴を上手く表している。一方、Bool代数の和に当たる「または(or)」は日常における「または」とは微妙に異なる。日常の「または」は数学において「排他的論理和(exclusive or)」にあたる。これら2つの例は分かりやすい例であるが、(世間的に)難しい例もある。数学でいうある集合$S$の「(二項)関係(relation)」は直積集合$S \times S$ の部分集合である。私が所属している研究室で配属のための説明会を行うときなど、見ず知らずの後輩と話す機会があるときに離散数学を習ったと尋ねると頷く後輩に対して「じゃあ、関係の定義を言ってみてよ」と質問すると「わからない」とか「知らない」と返ってくる。数学における関係という言葉が如何に日常における言葉といかにかけ離れているかと示唆している例だと思う。
関係や同値関係という言葉を知ったときに次のようなことを考えた:
友達関係は同値関係か?
自分が知っている人間の集合を$S$とし、$S$の元$a,b$(つまり人間)において、$a$$b$を友達だと思っている(未定義!)ときa\sim bであると定義する。このとき自分と自分自身は友達であるはずだから反射律は成立。人間Aが人間Bを友達だと思っているならば人間Bも人間Aを友達だと思っていると思いたいのが人情であるから対称律も成立。人間Aが人間Bを友達だと思っていて人間Bが人間Cを友達だと思っているならば、人間Aが人間Cを友達だと思っていいだろう、それが人脈だ、ということで推移律もなりたつ。よって友達関係は同値関係である。友達関係が同値関係ならば人間の集合は友達関係によって類別、分割できる。
余り面白くない例(面白い例は群の準同型定理の証明など)だし明らかにおかしい部分もあるが、関係という言葉にちょっと馴染みやすくなるのではないかと思う。