何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

2019年大反省会

自分以外特に誰も楽しみにしていない、年末恒例の反省会エントリを書く季節がやってきた。

過去のエントリは以下の通りである。

2019/02/06 『pandasクックブック』発売

年末に朝倉書店さんに訪問し、打ち合わせをしつつ校閲を行った。 ちょうど仕事納めぐらいのタイミングに体調を崩してしまい、若干朦朧としながら索引を眺めていた。

2019/02/上旬 無限に発生する保守対応

普段の業務の1つにスマートフォンアプリの保守があるが、PMのところで滞留し続けた課題が決壊した。 分け入っても分け入っても青いイシュー。 先方の深夜対応に付き合わされることもあり心身ともに疲弊していた時期であった。

2019/03/26 『PythonによるWebスクレイピング 第2版』発売

初版が出た際は単なる読者であったが、2版では査読者の1人として関わることができた。 この頃はスクレイピング本が何冊も出ていたが、最近(2019年12月)は新しいスクレイピング本が登場しなった気がする。 ある程度ツールやマナーが固まって枯れてしまったのだろうか。

2019/04/26 『Head First はじめてのプログラミング』発売

販促のためにお試し冊子が登場した。 新宿紀伊國屋でも見かけた。

2019/05/24 『できる 仕事がはかどるPython自動処理 全部入り。』発売

Python mini hack-a-thon冬山合宿 2019でレビュワー募集があった。 同じタイミングで『IPythonデータサイエンス クックブック 第2版』も読んでいたので募集に即応はしなかったが、 「読まない?」と誘われたので二つ返事で読み始めた。

2019/05/25 『IPythonデータサイエンス クックブック 第2版』発売

初版が出た際は単なる読者であったが、2版では査読者の1人として関わることができた(2回目)。 2015年から2016年に出たPython本の改訂である。

2019/05/29 DjangoCongress JP 2019に参加

LTの枠が空いていたのでDjango QuerySetのミスを発表した。 QuerySetを書くと自動的に実行計画が見れる機能やら道具があると便利だなあと思うが果たして。

2019/06/上旬 増税のあおりを受ける

ずっとやるやる言っていた開発が増税対応で対向システム側のリソースが枯渇して開発が流れた。 まさか増税するなんて...と本気で思っていたのだろうか、ずっと前から分かっていたのに。 結局、時期がずれただけになったが。

2019/06/26 『Python計算機科学新教本』発売

PythonによるWebスクレイピング 第2版』の打ち上げの席で話題に上がり、 たまたまBooks Kinokuniya Tokyoで原著を購入していたという偶然もあった。

2019/09/18 Pycon JP 2019に参加

今年は発表せず、所属する会社のスポンサーブースのお守りがメインであった。

2019/09/27 『NumPyによるデータ分析入門』発売

PyCon JPには間に合わず。 クラウド回りの情報を最新にアップデートするのは骨が折れる。

2019/10/15 PyCon mini Hiroshima 2019に参加

いくつか考えてあったネタを携えて向かった。 ちょうど台風が日本列島に接近している状況で、開催やら移動やらが危ぶまれたが無事に移動も発表もできて本当に良かった。

2019/11/上旬 理解しがたい方針に振り回される

詳しくは書けないが、しょうもない方針としょうもない対策を上から強制された結果、プロジェクトが全く動かなくなるという事案が発生した。 一体我々はだれのために仕事をしているのか甚だ謎である。

2019/12/26『Pythonによるファイナンス 第2版』発売

思えば半年前からずっと読んでいた。 分厚さから見てもその通りであるが。

全体的な反省

昨年に引き続き、査読を多くこなした。 これはオライリージャパンの編集者の仕事のペースがすごいということも意味している。 Python本もそのうち飽和してくるかもしれないが、いい本をよりよくするために努力をしていきたい。

外部発表は概ね年2回ほどを目標にしているが、一応達成することができた。 業務経験に裏打ちされたリアリティある発表や、数学の体系をうまく示せる発表をしていきたいが、どこまでそれを満たせているのか。

普段の仕事では4月ごろにメジャーバージョンリリースがあったが、前バージョンの保守対応と新規開発が同時進行となり、担当しているプログラマが同一人物であるのでそりゃあ疲弊する。 今年は「いったい誰のために仕事をしているのか」と悩むことが多くあった。 一般のお客さん(to C)が使うものを受託開発する場合、開発する人間のお客さんはその開発を依頼してきた会社とその会社のお客さんの2人存在する。 難しいのは、我々のお客さんは成果物を触る一般のお客さんなのか、発注した企業なのか、どちらなのかわからなくなることである。 一応の解として、「発注した企業は自身の顧客である一般のお客さんのことを真に理解している」という前提を真とするならば、 発注した企業のこと第一に考えて実装すれば自ずと実際に使う人も幸せになれる、というのがある。 理想論であり、「それ、社内政治の結果じゃないの?」みたいな代物もある。 とはいえ、まだ広義のお客さんの方を向いて仕事をしているので健全であると思う。

話がここで終われば受託あるある話なのだが、「いったい誰のために仕事をしているのか」にはもう一つの観点がある。 それは、自社の都合に振り回されることである。 前期の有価証券報告書、特に、「提出会社の経営指標等」を読むとわかることであるが、あまりよい状況とは言えない。 それを打破するための、しょうもない方針としょうもない対策とは、おや、誰か来たようだ。

『Pythonによるファイナンス 第2版』の査読を担当しました

金融もPythonでやろう

2019年12月26日にオライリージャパンから『Python for Finance, 2nd Edition』の邦訳『Pythonによるファイナンス 第2版』が発売される。

www.oreilly.co.jp

この度、邦訳の査読者として参加させていただいた。 オライリーの方から話があったのは2019年6月上旬であった。

タイトルの通り、Python金融工学を行う本である。 このエントリを書いている人物は金融に詳しくなく、査読を行ったのは第1部および第2部のPythonに関する部分が中心である。 Python mini Hack-a-thonでつながりがあった@drillerさんに後半部分の金融パートを読んでいただくようにお願いをした。

「第2版」とあるが、初版の邦訳は存在しない。 初版は2015年であり、日本でPythonが流行する前である。 656ページとなかなかのボリュームであり、かつPython初心者や金融初心者向けではないためハードルはやや高いかもしれないが、FinTechやら金融工学に興味がある方にはぜひ手にとって読んで欲しい。

『Effective Python 2nd ed.』項目5:複雑な式の代わりにヘルパー関数を書く

不変でも進化する

Effective Python 2nd ed.』の続き

effectivepython.com

項目5は初版の項目4の続投であり、主張もそのままである。 Python特有の主張ではなく、どの言語でも大事にするべき項目である。

それでは何も変わっていないのか、というと、実は2版の項目4を受けて、文字列フォーマットの形式がC言語形式からフォーマット済み文字列になっている。 こういう部分にニヤリとしてしまうのである。