何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

『Python機械学習クックブック』の査読を担当しました

今すぐ使えるクックブック

2018年12月15日にオライリージャパンから『Machine Learning with Python Cookbook』の邦訳『Python機械学習クックブック』が発売される。 この度、邦訳の査読者として参加させていただいた。 オライリーの方から話があったのは2018年10月中旬であった。

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データの取り扱いから加工、機械学習までよくあるケースをクックブック形式にまとめてある。 一通り学んだ人がいざ問題に取り掛かる際にパッと開いて参照したり、とにかく目の前にある問題をどうにかするための本である。 紹介文にある

「やりたいこと」「困っていること」に答えてくれる一冊です。

がこの本の特徴を一言で表している。すでにやりたいことがあり、それをどうしたら解決できるか、という本である。 通しで読む必要がないのでとりあえず購入して机の上においておく、という作戦がおすすめである。 コンパクトにまとまっているので鞄に入れて運ぶこともできる。

『エレガントなSciPy』の査読を担当しました

興味深い事例と学ぶSciPy

2018年11月10日にオライリージャパンから『Elegant SciPy』の邦訳『エレガントなSciPy』が発売される。 この度、邦訳の査読者として参加させていただいた。 オライリーの方から話があったのは2018年9月中旬であったが、『Elegant SciPy』の話題は2017年のPyCon JPでオライリーの方と雑談をした際に話題に上がっていた。

www.oreilly.co.jp

具体的な題材を中心に、NumPy、SciPyを中心に科学技術計算をPythonでどのように行うか、を説明している。 題材としては筆者たちの専門である生物系の分野からの採用が多く、序盤から遺伝子の話題が登場する。 とはいえ、生物系の話題に疎くても解説とソースコードを読み解けばNumPy、SciPyのすごさが理解できると思う。 Pythonのバージョンも3系であるのがうれしい限り。

本文中、セルゲイ・プロクジン=ゴルスキーが撮影したカラー写真を復元する題材がある。 同一の被写体を3色のフィルタを通して撮影することでカラー写真を構成する手法である。 その被写体は教会のステンドグラスで、神ヤハウェ使徒ヨハネヨハネの弟子プロコロが描かれている。 以前、読んだ本の影響でヨハネとプロコロの関係を詳しく知りたくなった。 その結果、ヨハネがプロコロを通じて『ヨハネによる福音書』を口述筆記*1している様子を描いたのであろう、ということが分かった。 査読者の指摘としては、プロコロという名前の訳出方法(英語の発音通り?新共同訳に寄せる?)に留まったが、こういう寄り道が楽しいのである。

閑話休題。最近のPython本は機械学習系が多かったが、この本は(scikit-learnも登場するが)Pythonの昔からのお得意様である科学技術計算がメインである。 Web系とも、機械学習系とも違う、科学技術計算の面白さを堪能してほしい。

*1:伝承であり、実際に誰が書いたのかはどのような立場をとるのかによると思う。

Pycon JP 2018に参加しました。

まさかの時のなんとやら

2018年9月17日、18日にPyCon JP 2018のカンファレンスが行われた。 2014, 2015, 2016, 2017に続いて5回連続5回目の参加である。 今回はスピーカー、スポンサーブースの主担当者として参加という今までとは全く異なる立場でのPyCon JPであった。

聞いたトーク

Atsushi Odagiri 「あなたと私いますぐパッケージン」

speakerdeck.com

youtu.be

毎年、パッケージングの話を聞いていると着実にパッケージ周りが進歩していることがわかる。

新井 正貴 「Pythonで解く大学入試数学」

slideship.com

youtu.be

まさかの数学ネタ、SymPyネタ被り。自分の宣伝に少なくない時間をかけてもらってしまい申し訳なかった。 センター試験は手計算に優しいのでSymPyだと回りくどい可能性もある。

杉山 剛「自分が欲しいものをPythonで書く方法(Python for Myself)」

slideship.com

youtu.be

YouTubeから視聴。 質問に答える人の役で自分が登場する。

1日目LT

youtu.be

jumpyoshim.hatenablog.com

会社の同僚が発表した。 アレな目的に対して真面目な手法を使うのは面白い。

別のLTで昨年のLTであった「listにlistを代入する」話が再び登場した。

Yasuaki Matsuda「Djangoアプリケーションにおけるトイル撲滅戦記」

speakerdeck.com

youtu.be

会社の同僚が発表した。 一緒に取り組んだプロジェクトやその経験を踏まえた新しいプロジェクトでの経験をいい感じにまとめてある。

2日目LT

youtu.be

麻雀の役判定botのLTにキレがあった。 そのほかもいい感じのネタでとてもよかった。

スポンサーブース

所属している会社の広報の方がまとめてくださりました。

PyCon JP 2018にGoldスポンサーとして協賛しました!

発表した内容: 「SymPyによる数式処理」

github.com

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当初、数論成分は薄めであったが、線型代数の説明をするよりも数論の方がSymPyのモジュールを活用できるので素数にまつわる定理や補題、予想を増やしていった。概要に書かれている連立方程式や最大公約数、最小公倍数は一体どこにいったのでしょう? 発表の冒頭でヤバいと思ったら逃げましょう、と煽ってみたが、結局誰も逃げずに最後まで聞いてくれてうれしかった。寝ていた人もいたけれども...。

自分の発表を聞いてみると、自分が思っているよりも声が高めなのか、とか、早口で何言っているのかわかんないなこれ、みたいな印象を受ける。

発表内容も、当初はもう少し高校数学よりの内容にするつもりであったが、ネタ被りが生じたため、修士論文からネタを採用することになり数論ネタが増えたりと「理工系学部1, 2年」というレベル感とは、という状況になった。 それでも、自分が話したい内容を話したほうがやはり話している人が面白いので聞いている分も何言っているのかわからなくても面白そうだった、となれば十分である。

所感

今年はスピーカー、スポンサーブースの主担当者という重めの役割を同時にやったのでなにかと大変であった。 来年も数学ネタで何かできればいいなと思いつつ。