何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

『初めてのPerl 第7版』の査読を担当しました

「リャマ本」の最新版

2018年1月20日にオライリージャパンから『Learning Perl 7th Edition』の邦訳『初めてのPerl 第7版』が発売される。 この本は長年「リャマ本」として親しまれてきた。

www.oreilly.co.jp

この度、邦訳の査読者として参加させていただいた。 オライリーの方から話があったのは2017年11月下旬であった。

原著者たちが実際に行ったトレーニングコースの経験に裏打ちされたテキストであり、基礎からPerlを丁寧に学ぶことができる。 私もPerlを学びながら読み進めた。 感じたこととして、Perlはデフォルトの振る舞いが多く、最初は慣れるのが大変であるが、一度身に着ければ強力な武器になるだろう、と感じた。

原書『Learning Perl』の初版は1993年に出版され、翻訳本が出版されたのは1995年6月のことであるソフトバンク出版事業部から出版されている。オライリージャパンが設立されたのは1995年12月である。 その後、 第2版第3版第5版第6版と翻訳が出版されてきた。 このような歴史ある名著に僅かながらでも携わることができてうれしかった。 2018年となった現在ではRubyPythonといった強力なライバルが存在するが、何故Perlが使われるようになったのかを知るためにも読んでいただければと思う。

余談

第6章「ハッシュ」の「6.2.2 ハッシュの代入」にある訳注(P.113)が気に入っている。 ハッシュの変換例の1つとして逆引きハッシュを取り上げて、注意が述べられている。以下に引用する。

もちろん、これがうまくいくのは、元のハッシュの値がユニークな場合だけだと推測できるでしょう(頭の良い人は科学上の原理から説明できるでしょう) ――そうでない場合には、新しいハッシュでは同じキーが重複してしまいますが、ハッシュにおいてはキーは常にユニークでなければなりません。

私は決して頭は良くはないものの、「科学上の原理」からこの事象の説明を試みた。 Perlのハッシュ(一般に、連想配列)を数学の写像として解釈して訳注を作成した。 学部1年のときにまじめに離散数学を勉強してよかったと感じた。