何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

体験談を元に体験談の無意味さを語る

去る2013年10月20日に基本情報技術者試験を受験し、11月18日に合格発表があった。結果は合格だった。合格率は22.1%である。想像以上に合格率が低いので、ここで僕が基本情報技術者試験に向けてやったことを書けばもしかしたら誰かの役に立つかもしれない…という善意の動機による悪意に満ちた体験談を書いてみたい。

僕が試験のために費やした時間は6, 7時間である。具体的には技術評論社から出ている分厚い参考書を1冊購入し、それを通学中にうとうとしながら読み進めた。そして過去問(H24秋)を午前問題だけ1回分解いた。それだけで午前75%、午後85.5%で余裕で合格。

となる。

基本情報技術者試験 勉強時間」で検索すると合格するには通常3ヶ月必要らしい。だが上記の体験談を読むと基本情報技術者試験というのは数時間本を読んで過去問をちょっと解くだけで合格できる試験らしい…と勘違いする人が出てくるのではないだろうか。僕と他の人では頭の作りが違う、という話もある(僕は暗算が絶望的に出来ない)し、そもそもバックグラウンドが違うという要素もある。例えば僕は東京の電気通信大学(国立!テストにでる!)を卒業している。電通大では試験対策ではないにせよ基本情報技術者試験で出題されるようなことは学科によっては違うにせよ講義で扱っている。例えば僕の場合、アルゴリズムやデータ構造、論理回路アーキテクチャは習った。つまり、上記の「6, 7時間」の大半はマネジメントといった僕が知らなかったことに費やされている。本当は講義という形で15コマ*90分かけて勉強している。中には演習付でみっちりやったものもある。上記の体験談(のような何か)にはそれらが隠蔽されている。また、午後問題の対策を全くやっていないがそれでも何とかなったのは大学でプログラミングの講義を多少受けていたこと、アルゴリズム論理回路の知識があったためである。これも隠れていてわからない。
似たような話は就職活動の「先輩の体験談」にもある。「先輩の体験談」には先輩なる人物が自分の就職活動について語っていて、これが採用に至った秘訣!みたいなことが書いてある(気がする)。それはあくまでも先輩なる人物が自分でそう思っているだけで、本当に企業が先輩なる人物を採用した理由ではない可能性が大いにある。例えば、彼自身は所謂意識が高い行動故に採用に至ったと思っているかもしれないが、実際は彼の誠実なところが決め手になったのかもしれない。もっと俗な例は、実は優秀な重役の息子だったとか、研究室の先生の強すぎるコネクションだったとか、そういう理由なのかもしれない(企業としてはどんな理由にせよ利益を生むような有益な人物を採用出来ればいいのだから)。
結局何が言いたいのかというと、体験談は発言者のバックグラウンドが隠れてしまうので気をつけましょう、という話。