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何かを書き留める何か

数学や読んだ本について書く何かです。最近は社会人として生き残りの術を学ぶ日々です。

佐武一郎『線型代数学』

佐武一郎『線型代数学

裳華房 1974年

http://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-1301-2.htm

日本語で書かれた線型代数の本としてはこの本と斉藤正彦先生の『線型代数入門』(東大出版会)が有名だろうか。
共に2006年に日本数学会第二回出版賞を受賞している。

現在、この本を読んで線型代数を学ぶ人は少ないだろう。
私は学部2年の秋から学部4年の夏にかけて自主セミナーで読んだ。

『線型代数学』のオリジナリティは線型空間を前面に出していることである。
前面といっても最初は行列、次に行列式と従来の方法を踏まえつつ第III章で線型空間を定義する。


学部1年で学んだ線型代数はただ行列をいじるだけの何が楽しいのか全くわからない代物だった。連立方程式が解ける?だからどうした!行列の対角化?試験過ぎたら忘れた!

ただの便利なツールに過ぎなかった線型代数であったが、『線型代数学』を読むとその考えは変わった。現代数学のプロトタイプとしての線型代数がそこにあった気がした。

とにかく美しい。連立方程式の解法も線型空間の言葉で読むととても面白い。

行列の対角化も線型空間の固有空間による直和分解と見ると本当に美しい。

 

もし読むならば第IV章「行列の標準化」までは頑張ってほしい。

第V章は辛い思い出が多いが講義で学んだ線型代数とは違う世界が広がっているので気力があれば。